お知らせ|埼玉県入間市の精神科・心療内科専門 訪問看護ステーションさぼてん【発達障害、気分障害】

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親が心配しすぎないために 〜我慢して見守る勇気と第三者の存在の大切さ〜

2025.09.29

子どもが病気や障害を抱えていたり、精神的に不安定な状態にあるとき、親はどうしても心配しすぎてしまいます。
「子どもが困らないように」「少しでも楽になれるように」と願う気持ちは自然なことです。
しかし、過度な心配や過干渉は、子ども自身の成長や自立を妨げてしまうこともあります。

また、親だけが子どもを支え続けるのは大きな負担となり、親自身の心身も疲弊してしまいます。
そこで大切なのが、親が一歩引いて「見守る」という姿勢を持つこと、そして訪問看護師以外の第三者が関わることです。

さらに、子ども自身が「体を動かす」「スポーツを楽しむ」ことも心と体を整えるために大きな効果があります。
この記事では、親の心配が強すぎるときの弊害と、第三者や身体活動の重要性について詳しく解説します。


1. 親が心配しすぎてしまう背景

① 親にとって子どもは「自分の分身」

特に母親や父親は、子どものことを自分の分身のように感じやすく、
「子どもが傷つくくらいなら、自分が代わってあげたい」という気持ちになります。
これは愛情ゆえの自然な感情ですが、強くなりすぎると「過保護」「過干渉」につながります。


② 不安が強い時代背景

現代は、情報が溢れすぎている時代です。
ネットやSNSを見れば、病気や発達に関する情報が簡単に手に入りますが、その分「うちの子もそうかも…」と心配が膨らみやすくなります。
また、周囲との比較や世間の目も、親の不安を大きくする要因です。


③ 親自身の「孤独感」

子育てや看護を一人で抱え込む親ほど、不安や心配が強くなりがちです。
「誰も助けてくれない」「自分が頑張らなきゃ」という気持ちが、結果的に子どもを手放せない原因になります。


2. 心配しすぎが子どもに与える影響

親が過度に心配すると、子どもはそれを敏感に感じ取ります。
その結果、子どもの成長や心に次のような影響が出ることがあります。

① 自分で考えて行動できなくなる

親が先回りして問題を解決してしまうと、子どもは「自分で考えて選ぶ」経験ができません。
結果として、将来困難に直面したときに対応できなくなってしまいます。


② 自分を否定的に捉えてしまう

「そんなことしたら危ない」「あなたはできないから私がやる」という言葉は、子どもにとって「自分は頼りない存在なんだ」というメッセージになります。
これが続くと、自己肯定感が下がり、自信を持てなくなります。


③ 親子関係が緊張する

親が心配しすぎて何でも口出しすると、子どもは「監視されている」と感じ、距離を置こうとします。
結果として、親子の関係がギクシャクし、心を開いて話せなくなることもあります。


3. 親が「我慢して見守る」ことの大切さ

① 見守る=放任ではない

「見守る」という言葉は、決して「何もしない」「放任する」という意味ではありません。
子どもが自分で試行錯誤できるように、親は一歩引いて必要な時だけ支える姿勢を指します。

親が手を出すタイミングは「子どもが自分で乗り越えられない時だけ」。

このバランスが、子どもに安心感と自立心の両方を育てます。


② 親が冷静さを保つための工夫

子どもを見守るには、親自身が心の余裕を持つことが不可欠です。

  • 深呼吸や瞑想で気持ちを落ち着ける

  • 一人で抱え込まず、相談できる相手を持つ

  • 「完璧な親にならなくていい」と自分を許す

  • 子どもの小さな成長を一緒に喜ぶ

親が落ち着いていれば、子どもも安心して挑戦できます。


4. 親ではない「第三者」の存在が不可欠

親子関係が密接すぎると、お互いが疲れてしまいます。
そこで大切なのが、親でも看護師でもない第三者の関わりです。

① 第三者がいると子どもが安心する理由

子どもは、親に対して「こう言ったら心配させるかも」「怒られるかも」と考えて、本音を話せないことがあります。
しかし、第三者なら利害関係が少なく、安心して気持ちを吐き出せるのです。

例:

  • 学校の先生

  • スポーツクラブのコーチ

  • 地域のボランティアや友人の親

  • 心理士や相談員

  • 親戚など信頼できる大人


② 親も気持ちが楽になる

第三者が関わることで、親は「全部自分がやらなきゃ」というプレッシャーから解放されます。
結果的に、子どもとの関わりも穏やかになり、家庭内の雰囲気が和らぎます。


③ 訪問看護以外の支援も組み合わせる

訪問看護はとても心強い存在ですが、それだけに頼るのではなく、複数の関わりを持つことが理想的です。
看護師とは医療面で、地域の支援者とは遊びや学びで、といったように役割を分けると、子どもも安心していろいろな経験ができます。


5. 体を動かすこと・スポーツの効果

心と体は密接に関わっています。
特に、子どもがスポーツや体を動かす活動に参加することは、精神的な安定に大きな効果があります。

① ストレス発散とリフレッシュ

体を動かすと、脳内で「幸せホルモン」と呼ばれるセロトニンやエンドルフィンが分泌されます。
これはストレスを和らげ、気分を前向きにしてくれる働きがあります。


② 自信と達成感が得られる

「できなかったことができるようになる」という経験は、子どもの自己肯定感を高めます。
これは日常生活にも良い影響を与えます。

例:

  • 逆上がりができた

  • 水に顔をつけられた

  • チームで勝利を喜んだ

こうした小さな成功体験が、子どもの心を強くします。


③ 他者との関わりが自然に生まれる

スポーツは、自然と人と関わる機会を作ります。
訪問看護師との関わりとは違い、遊びや競技を通じて「仲間」という関係を築けることが、子どもの安心感につながります。


④ 親が介入しすぎないことがポイント

スポーツ活動では、親はあくまで「応援者」に徹することが大切です。
過度に口を出すと、子どもがプレッシャーを感じて逆効果になります。

子どもが楽しく続けられるよう、見守りながら応援する姿勢を大切に。


6. 家族で取り入れたい「距離感チェックリスト」

親が心配しすぎていないかを確認するために、以下のチェックリストを活用してみましょう。

  • 子どもの失敗を先回りして止めていないか

  • 子どもが自分で選ぶ場面を意識的に作っているか

  • 親以外に相談できる相手がいるか

  • 親が一人で抱え込んでいないか

  • 子どもが外で体を動かす機会が週に1回以上あるか

  • 親子の会話が「指示」ではなく「共有」になっているか

3つ以上チェックが入らない場合は、少しずつ「見守る」姿勢にシフトしていきましょう。


7. まとめ:親が一歩引くことで、子どもは伸びる

親の愛情は子どもにとって何よりも大切ですが、愛情が強すぎると子どもを縛ってしまうこともあります。
訪問看護や第三者のサポートを活用しながら、親が一歩引いて「見守る」ことで、子どもは安心して自分らしく成長していきます。

本記事のポイント

  1. 親の心配しすぎは、子どもの自立を妨げることがある

  2. 親は我慢して「見守る」姿勢を大切に

  3. 第三者の関わりが、親子双方を安心させる

  4. 訪問看護だけでなく、地域活動やスポーツも積極的に活用

  5. 体を動かすことは心身の安定に効果的

子どもが「自分で選び、考え、成長する力」を身につけるためには、親が少し距離を取る勇気が必要です。
そして、その過程で支えてくれる第三者や活動をうまく組み合わせることが、家族全体の安心と笑顔につながります。

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