「おかしい」と気づいても離れられない ― モラハラが洗脳に変わる瞬間
――モラハラと洗脳の構造を見抜くために
1. モラハラは「病気だから」で片づけられてしまう
モラルハラスメント(モラハラ)は、暴力のように目に見える傷を残さなくても、言葉や態度で相手を支配し、深いダメージを与える行為です。
典型的なのは次のような状況です。
- 奥さんが体調が悪いとき、夫に対して言葉が急にきつくなる
- 家族の誰かに口をきかない、無視する
- 機嫌次第で態度が大きく変わる
こうした行為は、相手にとっては強いストレスであり、精神的な暴力です。ところが、加害している本人に「疾患がある」とされると、「病気だから仕方ない」と周囲が思い込み、被害者が声を上げにくい構造が生まれてしまいます。
2. 「疾患があるから気づけない」という誤解
モラハラをする人が精神疾患を抱えている場合、「本人は病気で気づけないのだから、責めても意味がない」という解釈がされがちです。確かに、疾患によって自己コントロールや感情表現が難しいケースはあります。しかしそれを理由に、相手を傷つける行為が「正当化」されるのは別の問題です。
被害者の立場からすると:
- 「病気なんだから我慢しなきゃ」
- 「病気を理解できない自分が冷たいのでは?」
- 「支えなければならない立場だから離れられない」
このように考えてしまい、実際にはモラハラを受け続けているにもかかわらず、自分を責めて耐えてしまう傾向が強くなります。
3. 「おかしい」と気づいても離れられない構造
被害者は次第に「何かおかしい」と感じるようになります。相手の言動が明らかに常識的ではない、態度の揺れが激しすぎる、自分ばかり責められている……。
それでも離れられないのは、次のような心理的・社会的なハードルがあるからです。
- 罪悪感の植え付け
「お前のせいでこうなった」と繰り返されることで、自分が悪いのだと思い込む。 - 病気への責任感
「病気を抱えている人を見捨ててはいけない」と自らを縛る。 - 社会的な目
「病気の配偶者を支えられない人」という烙印を押されるのではという恐怖。 - 経済的・生活的依存
生活費や住居、子育てなどの現実的な事情で距離を取れない。
これらが積み重なることで、「離婚や別居」という選択肢があっても実行できない状態になります。
4. モラハラと「洗脳」の共通点
モラハラ被害が長く続くと、心理的には「洗脳」に近い状態が起こります。
- 相手の機嫌に振り回され、常に顔色をうかがう
- 自分の感情よりも相手を優先するようになる
- 相手に不満を持つこと自体が「悪いこと」のように思えてしまう
- 周囲に相談しても「病気だから仕方ない」と言われ、ますます孤立する
これは、典型的な「心理的支配」の構造です。洗脳の怖さは、被害者自身が「自分は自由に判断している」と思っていても、実際には相手の価値観に縛られている点にあります。
5. 「病気だから仕方ない」を乗り越える視点
モラハラと疾患が絡むケースでは、特に「病気があるから」という理由で支配が正当化されがちです。ここを見抜けるかどうかが、関係改善や脱出の鍵になります。
- 疾患とモラハラを切り分ける
疾患があることと、相手を傷つける行為は別問題です。病気を理由にモラハラが許されるわけではありません。 - 「支える=耐える」ではない
支えるとは、相手の言動を全て受け入れることではなく、必要な支援を「適切な距離」で行うことです。 - 専門家・第三者につながる
医師、心理士、相談機関など外部の支援を取り入れることで、自分の視野が広がります。「自分が悪い」という思い込みをほぐす助けになります。 - 安全を最優先に考える
精神的な暴力も、暴力の一種です。危険を感じる場合は「病気だから我慢する」ではなく、安全に身を守ることが最優先です。
6. まとめ
モラハラは、疾患があるかないかにかかわらず成立する「心理的支配の構造」です。
問題は「病気のせい」ではなく、「相手を支配し、尊重しない行為」にあります。
「病気だから仕方ない」と思い込んでしまうと、それは被害者を洗脳状態に追い込み、離れることを極端に難しくします。
だからこそ、モラハラと疾患を切り分けて捉え、外部の助けを借りながら「自分の尊厳を守る」視点を持つことが大切です。
病気を理由に、誰かが傷ついていいはずはありません。尊重と支え合いがある関係こそが、本来の家族の形なのです。
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